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プロセス概要

by tagami

ここまで述べられてきた内容を踏まえ、より実践を意識したUXデザインの適用に使えるプロセスとして安藤昌也による「UXデザインのプロセス」について見ていく。尚、提供するサービスの種類やプロジェクトの目的によっては必ずしもこのプロセス通りではなく変更すべき必要はある、ということは念頭に置いておきたい。

「UXデザインプロセス」をもとに作成
安藤昌也 (2016)『UXデザインの教科書』より

また反復設計についてはこれまで述べてきたものと同じであり、各段階において必要に応じた反復が想定されており、問題があれば前段階に戻る。一周しているのは、提供後の評価を行いながら次期バージョンのリリースやさらなる新製品の開発の計画につなげることを意味している。図では振り出しに戻っているように見えるかもしれないが、あくまでも螺旋階段のように一周するごとに上がっていくスパイラルアップをイメージしてほしい。

また、これから紹介していくUXデザインプロセスはデザインという名が付いてはいるが、いわゆる専門的なデザイン教育を受けていなくてもある程度のレベルまでは実践することができる、ということも大きな特徴として述べられている。取り組み方の前提として、UXデザインは基本的にプロジェクトチームにて行う。そしてユーザーについて理解をする段階は可能な限り分担ではなく共同して行うことが望ましい。メンバー一人一人が自分の目や肌感、感覚を通してユーザーについての情報を読み解くことが重要な意味を持つ。ユーザーへの深い理解とユーザーへの共感をメンバーの共通認識として醸成していくことがアイデア発想の段階においてより良いアウトプットを作り出す鍵となる。

デザインプロセスとビジネス、その意思決定

ここまでの内容を理解していることを前提としてあえてこの段階において言及しておきたい点がある。それはUXデザインプロセスに従ったからといってビジネスとして成功するというわけではない、という点である。ユーザーの要求を十分に満たすものを作ることができてもそこにかかるコストが利益を上回っていたらビジネスとして成り立たない。ユーザーのニーズに応えながら十分な利益を出し続けるということは別次元の話である。デザインプロセスはどのような判断や意思決定をすべきかについては答えを持っていないし、それは企業や組織の指針や目標、ビジョンにより異なるので持つ必要もない。

どのようなサービスを提供するかはビジネスの総合的な判断が必要である。コンセプトが2案に絞られたとして、それらへの支持がそれぞれ20%、80%であった際に、支持が20%であった案を採用して成功するという例もある。これまでにない新しい体験価値を提案するものほどアイデアレベルの評価では上位にあがらないということはしばしば起こりうるようだ。

反復設計において適切な段階に戻る際にも意思決定が必要である。問題を抱えたままのサービスを提供するリスク修正することで提供が遅れることのリスクを正確に判断した上での意思決定が必要である。

また、UXデザインプロセスの導入にあたっては、組織全体でこれを理解しプロジェクトを進めていく必要がある。そのため組織へのUXデザインの重要性についての啓蒙活動は重要な取り組みの一つである。

参考文献