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解決策アイデアの発想

by tagami

しっかりと状況とポイントが整理できたらいよいよ解決策の発想に入る。ここで参考になる考え方がダブルダイアモンドだ。

ダブルダイアモンド

発散させる

デザイン思考について学んでいる人は一度は耳にすることがあるであろう。まずは考え得る解決策のパターンをひたすら出す。この段階においては細部を考える必要はなく、抽象度も伝わるものであれば粗くて良い。むしろ作り込む必要は無く、伝わる最低限の抽象度が良い。質には拘らずまずはとにかく量をスピーディに出す。「ポジティブに広げてネガティブに詰める」と言われる通りまずは否定的な思考は一切排除してとにかく広げる。

ここで、パターンというのは方向性が違うものを差す。若干違う程度のパターンは亜種としてパターンには含めない。ここでいう亜種とは、パターンA, パターンB, パターンC…と広げている場合、パターンA-1, パターンA-2といった具合であり、あくまで亜種である位置付けに注意する。

いわゆるプロフェッショナルと呼ばれるデザイナーはこの段階におけるパターン出しの方向性が上手い。パターン出しの質の向上はより早くより良いものを作ることに大きな影響を及ぼす。

パターンは多ければ多いほど良いが、どう考えてもあり得ないパターンは必要ない。ケースバイケースではあるが、参考値として可能であれば8パターンほど出せると良いだろう。また、検討をし初めたころに思いつく案はおおよそ誰しもが思いつくもので、「これでパターンは出切ったかな」と思った時点からがチカラの見せ所だ。むしろその出切った時点をアイデア出しのスタートとしても良いくらいだ。

いきなりリッチなデザインはせず、ラフデザインとして紙とペンで行うのが良い。状況整理したドキュメントとアイデア出しのスケッチボードを行ったり来たりしながら熟考に熟考を重ねる。

考え方の参考としてWhyとHowを繰り返すと良い。デザインを作成したら、それがなぜ良くないのか、じゃあどのようにしたら良いのか、を繰り返し考える。一つのことを集中力を持って考え抜く・考え続ける職人の精神が大事となる。

また、クリティカルシンキング(批判的思考)も役に立つ。感情や主観に流されずに物事を判断する思考法だが、思い込みや偏見、大事にしている価値観、暗黙のルールなど無意識のうちにあたりまえと思っていることにも時にはそれが本当に正しいのか疑い、「そもそもの設計が正しいのか」「他に要因がないか」「そのうえでのベストな打ち手は何か」を考える。

収束させる

アイデアが出切ったところで、事前に状況整理した内容を踏まえて俯瞰してパターンを見ていく。このネガティブに詰める段階でチームメンバーと見ていくと良いだろう。この段階では論理的に、客観的に案を見ていく。それぞれの案の良い点、悪い点、気になる点などを書き記しつつ1〜2案に絞る。

ここで使えるのはPros and Cons Analysisだ。プロコン分析とでも言うのだろうか、要するに「良い点・悪い点分析」だ。案を並べてその下に良い点と悪い点を洗い出していく。こうすることで良い点が多い(=良い案)が一目でわかる。

良い点・悪い点分析(プロコン分析)

1~2案に絞ることができたらそれを道しるべに再び拡散のフェーズに入る。ここまで検討してきた内容を全て含めた状態で再び案出しを行い、収束させ、最終デザイン案として落とし込む。

このプロセスを経ても案が収束しない場合は何度でも発散と収束を繰り返す。しかし、複雑な案件や時間をかけてもとにかく磨き上げたい場合を除き、2回で収束させることを目指す。2回で収束しない場合はその原因を分析する。主な原因は、UX状況整理の詰めが甘い、パターン出しの方向性が悪い、パターン出しの量が足りない、などである。

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