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UXの基本モデルと定義

by tagami

基本的なフレームワークとしては世界のUX研究をリードするドイツのUX研究者マーク・ハッセンツァール(Marc Hassenzahl)によるハッセンツァールのUXモデルと呼ばれるものがある。これは、UXをより詳しく理解するための基本的なフレームワークとして世界的にも認知されている。(図)

このハッセンツァールによるデザイナーとユーザーの関係図を見てみると、デザイナーは製品の性質を意図して作り「意図された製品の性質」としてアウトプットする。この時、ユーザーが使用した際の「結果」に関与することはできない。また、ユーザーからはデザイナーの意図したことなど関係なく、あくまでも表出した性質として知覚することはおさえておきたい。(どれだけデザイナーが意図したとしてもユーザーがその意図を汲み取らなかった場合、それはデザイナーのひとりよがりである可能性が高く、性質としては機能しないのである。)

ここで、ハッセンツァールは製品の性質として2点あげており、こうした感情や印象が、全体的な評価を形成していくとしている。

  • 実用的属性・・・操作性、使いやすさ
  • 快楽的(感情的)属性・・・刺激、同定(自分らしさを示せる)、喚起
図. ハッセンツァールのUXモデル(Hassenzahl, 2005)

主要な定義

また、UXの定義はこれまで数多くなされているが決定的なものはない。UXの総合情報サイトであるAll About UXには古いもので1996年のものから2010年のものまで27件の定義(ページはこちら)が掲載されている。その中から千葉工業大学先進工学部知能メディア工学科の安藤 昌也教授の著書『UXデザインの教科書』にて紹介されている主要なもの4つとその共通の視点について紹介する。

国際規格 ISO 9241-210 : 2010による定義

「製品やシステム、サービスの利用した時、および/またはその利用を予想した際に生じる人々の近くと反応」

*UXは、使用前・使用中・使用後に起こるユーザーの感情・信念・嗜好・知覚・生理学的心理学的な反応・行動・達成感のすべてを含む。
*UXは、ブランドイメージ、見た目、昨日、システム性能、インタラクションの動作うあインタラクティブシステムの支援機能、事前の経験から生じるユーザーの内的および身体的状態、態度、スキルとパーソナリティ、利用状況の結果である。
ユーザーの個人的目標という観点から考えた時には、ユーザビリティは典型的にUXに付随する知覚的感情的な側面を含め。ユーザビリティの評価基準を用いてUXの諸側面を評価することができる。

国際規格(ISO 9241-210 : 2010)「インタラクティブシステムの人間中心設計プロセス」より

UXPAによる定義

「ユーザーの全体的な知覚を形成する製品やサービス、あるいは企業とユーザーとのインタラクションのあらゆる側面のこと。また、UXデザインは、レイアウトやビジュアルデザイン、テキスト、ブランド、サウンド、インタラクションといった要素を含むインタフェースのあらゆる構成要素に関係している。」

UXPA (User Experience Professionals Association), Definitions of User Experienceより

ニールセン、ノーマングループによる定義

「UXは、エンドユーザーと、企業やサービスあるいは製品とのインタラクションのすべての側面を含有する。典型的なUXの最初の要件は、とにもかくにも顧客のニーズを的確に適合させることである。次に、所有する喜びや使う喜びを感じるような製品を作るための、シンプルさとエレガントさが必要である。真のUXは、単に顧客が欲しいというものを与えたり、チェックリストにあるような特徴を提供したりすること以上のことである。企業が高品質のUXを達成するためには、エンジニアリングやマーケティング、グラフィックデザイン、工業デザイン、インタフェースデザインなどの多様な取組みをシームレスに結合しておくことが必要である。」

D.A.Norman, and J.Nielsen, The Definition of User Experience より

ハッセンツァールとトラクティンスキーによる定義

「ユーザーの内的状態(体質的傾向、期待、ニーズ、動機付け、気分など)、デザインされたシステムの特性(例えば複雑さ、目的、ユーザビリティ、機能性など)およびインタラクションが生じる文脈もしくは環境(例えば、組織的/社会的条件、活動の重要さ、利用の自発性など)による結果である。」

M.Hassenzahl, N.Tractinsky, User experience-a research agenda, Behaviour & information technology, 25(2), pp.91-97, 2006. より

共通した3つの視点・UXの概念の主要ポイント

1.ユーザーによる主観的な評価

ユーザーがサービスを通して得た体験から、結果として抱いた感情や満足した等の評価の側面こそがUXの本質的な特徴である。

2.サービスを使う前段階も含めた連続性・一体性

サービスを使う前の段階(プレ・ユーザー)も利用の段階と同様に扱う。

3.ユーザーとサービスとの長期的な関わり

ユーザーとサービスとの関わりはサービスを使用する前・使用中、使用後、その後、と一時的なものに限られることはなく、長く使う間の経験すべてがUXの範囲であり、UXデザインにおけるデザイン対象領域である。

参考文献